3月17日「知らざる神から知る神へ」

使徒言行録17章16―34節 (新共同訳p.248 口語訳p.211)

今日の箇所は、パウロの第二回伝道旅行でのアテネでの伝道の様子が記されています。通常であれば、真っ先にユダヤ人たちの会堂に行き、「主イエスこそ、旧約聖書で預言されていた救い主である。」そうパウロは語っていました。しかしこの度は、「シラスとテモテが到着してから、アテネで伝道をしていこう。」そうパウロが思っていたところ、町の至るところに偶像があるのを見て憤慨してしまい、思わず広場でアテネの人たちに向かって伝道を開始してしまったのです。では、パウロは彼らにどのように伝道をしたのでしょうか。それは、パウロが道を歩きながら見つけた『知られざる神』を糸口にして、伝道をしたのです。そして、パウロが伝道をした内容こそ、24節~26節です。その箇所を通して、パウロが言わんとしていることは、「人間が自分の思想によって神のことをあれこれ考えて、神を何かになぞらえて造るのは、本当の神ではない。本当の神は、私たち人間を造って、導いて、支配しておられる。」ということです。アテネは哲学が盛んな地でした。そんなアテネでは、人間が自らの思いから神のことを考えて、その考え出した思いに基づいて、神を造り出していたのです。しかし、人間が神を生み出す理由は、心の中に恐れがあるからです。その恐れを無くすために信仰を持とうとするのです。そして、その恐れが、人間に沢山の神々を造り出させるのです。しかし、沢山の神々を造り出しても、全然恐れを拭い去ることが出来ないのです。そういう人間の心が生み出したのが、「知られざる神」なのです。何故そんなに心に平安を持てないのでしょうか。それは、人間があれこれ考えて、神のことを知ろうとしているからです。もしそれが逆転して、神が御自分を示して下さる言葉から、神を見つめ、それによってこの世界や人間を見つめ直していくならば、人間は本当の平安を、心の内に持つことが出来るようになるのです。だからこそパウロは、30節を通して、自分たちが神を造り出している罪の悔い改めを促して、31節-32節を通して、主イエスの十字架・復活・昇天の救いの恵みを受け入れるように、アテネの人たちに促したのです。私たちは、主イエスの救いの恵みを受け入れてこそ、本当の神と出会うことになるのです。そして、その神との出会いによってこそ、心の内に本当の平安を持つことが出来るようになるのです。そのことを覚えて、皆さんと共に、今週一週間豊かに歩んでいきたいと願っています。

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